夜歩く


遠方の劇場にベルセルクを観に行った。
上映時間の予定が夕方以降しか合わずやむなく夜の上映を観終わった
帰り道、駅にたどり着くと、人身事故の影響でダイヤがメチャクチャに
なっていた。ダイヤは1時間遅れだという。20分程待ってようやく
到着した電車は1時間前の到着予定車両だが、時間的に終電乗り継ぎ
可能な瀬戸際であった為、やむなく乗り込む。

終電乗り継ぎ予定駅に着くが、今度は乗り継ぐ予定の電車が来ない。
既に時間は夜11時を過ぎている。しばらく待って来た車両の行き先は
、帰路途中の表示。駅員に尋ねてもこれで運転終了だという。なんてこった。

到着駅から車を置いてある目的の駅までは20km程度の筈。
幸いにして自転車では何度も走った、周知の道だ。
ニット着用、靴はウォーキング用。
インナーは防寒スポーツアンダー、上着は自転車用耐寒装備。
所持金は殆ど無い。田舎で深夜すぎてタクシーなどいない。
宿泊施設なんかどこにも無ぇ。クソ迷惑な事だが友人に連絡はつかず。

・・・仕方ない、歩くしかねぇか。

街中を抜け、外灯一つ無い峠道をトボトボと歩いていると、通り過ぎる車は
センターラインをまたぐ程回避して、もの凄い勢いで駆け抜けていく。
きっと見てはイカン、ありえない物を見たような気がするんだろう。
上の衣装が真っ黒なので、遠目には脚しか見えんと思う。

幸いにして晴天の月夜で、月の光にて周りはよく見えた。
山の中は寒風が吹きすさぶが、インナーと服のおかげで、動いていればなんとか
耐えられる。ただ、休憩しようと立ち止まると恐ろしく寒いので、ひたすら
歩き続けた。(この時気温は2℃以下だった)
峠道は厳寒期の為に獣に出くわす事もなかった。
非常にヤバイ雰囲気満々の廃墟ホテルの傍らも何も見ること無く、通り過ぎた。
「夜歩く」を歌おうとして、アレは幽霊の歌だと思い出してやめる。

登り坂が延々と続く峠を越えてから、疲労感が酷くなる。しばし立ち止まる。
心が折れてその辺に寝転がりたくなるが、んな事したら間違いなく凍死する。
「もう少し歩こう」と励まし、ひたすら脚を前へ進める。
午前4時、脚が突っ張って、歩くのも困難になった頃、車の元にたどり着いた。
脚は痛くてたまらんが、運転は一応出来る。少し休んで帰宅し、倒れる用に寝た。

結局、4時間半の歩行だった。自転車なら1時間で終わる距離だというのに。
深夜に二度と歩きたくはない道のりだった。

ベルセルク、3部作だというが、あの展開ペースでは鉄大砲義手やドラゴン殺し
持つまで話が進められそうにない。
俺、観たいのはそれなんだ。無理っぽいので、もう行かなくていいや・・・

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